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​蔵人

地酒づくり。小さな酒蔵にはロマンがあります。自分で考え自分で動く。

仕事を通して自分自身を成長させ、誇りを持ちたいという方に加わっていただきたいと思っています。

仕事の内容は多岐に渡ります。小さいからこそ、蔵の中の仕事が全て見渡せるのが醍醐味でもあります。

資格はなにも要りません(あると便利なものはいくつかありますが)。未経験だからといって尻込みする必要はありません。大切なのは自分が何に携わろうとしているのかを意識して、川西屋酒造店という酒蔵がなにを目指しているのかを理解し、真摯に取り組めば良いだけです。一人ひとりが大切なことを見失わずに研鑽を積めばチームとしてすばらしいチカラを発揮できると考えています。

応募の​ご連絡は問い合わせフォームからお願いいたします。

蔵人インタビュー その1

工場長 米山繁仁(よねやま しげひと)

--- 米山工場長が川西屋酒造店で働き始めたきっかけはなんだったのでしょう?

 20年くらい前ですが実は私は酒屋をしていて、川西屋酒造店とも取引がありました。現社長がいろいろな取組を始めた頃に私は酒屋をたたむことにしたのですが、そのときに声をかけて頂き現在に至っています。

--- お酒を売る立場から、造る側への転身というわけですね?

 小さな蔵ですからなんでもやるわけですが、最初の頃は酒造りには携わっていませんでした。営業や出荷管理その他雑務全般ですね。でも、2年位経ってからでしょうか、やはりお酒の造りへの興味がどんどん強くなってきました。お客様へ説明するときにやはり造りを知っていたほうが話が膨らみますし、お客様の興味にも応えられるということもありました。

--- お酒を造ってみていかがでしたか?

 大変さも含めてですが、やはり面白いですね。もちろん、全ての工程に最初から入っていけるほどの経験も知識もありませんから、少しずついろいろな工程に関わっていきました。この記事を読んでいらっしゃる方は多少なりともお酒造りに興味のある方だと思いますので、最初は追い回しから始まってというようなことはご存知だとは思いますが、それぞれの役割には大変さも含めて面白さがあるものです。

--- 蔵人の方はやはり蔵に泊まり込むのですか?

 冬はもちろん造りに集中するわけですが、工程や役割によってはもちろん泊まり込む時期もあります。一番良いのは、すぐに行き来できるところに住んでいただくのが良いですね。泊まり込まなくて済みます。理想を言うとご結婚されているとか、フィアンセが居るとか。人にもよると思いますが、やはり造りは大変ですから食事や体調管理などのサポートがあるとより良いと思いますし、精神面でも支えがあると造りに集中できるんじゃないかと思っています。

--- 造りの時期以外は、どのような仕事があるのでしょうか?

 出荷作業、営業活動、研修などやるべきことは沢山あります。ウチみたいな小さな蔵は本当になんでもやらされますよ(笑)。他にも、川西屋酒造店には畑があって、みかんの収穫や箱詰め出荷と、収穫時期はみかん農家との兼業ですね。蔵の周りの環境整備も。草刈りや蔵周りの掃除、建物のメンテナンス、なんでもやります。いろいろな経験をしたい方には、ウチはいいんじゃないかな。

--- 出荷作業、営業活動、研修というのは具体的には?

 お酒の瓶詰めや、積み上がったケースを倉庫に入れたり、運送業者に引渡したり。フォークリフトも必要なので、講習に行ってもらったり。営業活動というと、百貨店や酒屋さん、イベントなどに出向いて、お酒を試飲していただいたり説明したり。​酒造組合が主催する研修会などに参加してもらったりです。

--- 社長のことや蔵の雰囲気はどう思いますか?

 ご存知のとおり川西屋酒造店は純米酒にカジを大きく切って、本醸造などをやめました。この時のやめ方がすごかった。売上も少なくなかった純米酒以外の酒を突然やめた。普通なら、少しずつ減らしていくとかだと思うのですが、これをほとんど一気にやった。社長、すごいなと本当に思いました。

 蔵の雰囲気ですが悪くないというか、私はパートさんも含めて素晴らしいメンバーが良いチームを作っているなと思います。これだけ幅位広い年齢層、3世代くらいの幅がありますが、みんな仲が良いですね。そういう幅広い年齢層の中で働けるのも、実はウチの良いところかもしれません。

--- 米山工場長が考える、お酒造りとはなんでしょうか?

 酒造りは林業に似ているなと思う時があります。林業はただ木を切り出すだけではないですよね。何代も前の人達が何年、何十年という先の切り出しを考えて苗木を植えて、枝打ちや周りの環境も整備しながら代々その木を見守り育てる。お酒もただ造るだけではない。毎造り、毎年の発見や経験を積み上げてゆく。熟成があれば数年目が離せない。そして、その次に何をすべきかを考えると更に何年も先のお酒のことを考えなければならない。

 お酒そのものを育てるのもそうなんですが、人が育つということにも通じてきます。ウチでも機械化を進めてはいますが、人手をかけなければならないところはあって、そこは絶対に手抜きはできない。データを沢山集めてAI技術を駆使して機械に全てを任せることも不可能ではないとは思いますが、それだとたぶん川西屋酒造店のお酒にはならない。ウチのチームが作った酒にはなっていかない。直接麹を見て、酒母と会話でもするように成長を見ていたほうが面白いし、手をかけた分お酒が応えてくれる実感がある。それがこの仕事の醍醐味だと思うのです。

そういう面白さを知って、チームの共同作業や人間関係の中で人間力を高めていく。そしてその人がまた酒を造る。上手く言えませんが、そんなことを良いサイクルで代々続けて行くのがお酒を造るということなのでしょう。 

 お酒を造るというのはお酒に対する「愛」、「無償の愛」が必要です。それと、「気合」と「忍耐」。造りは、同じ作業、しかも決して楽ではない作業を繰り返し繰り返し行うという労働です。タンクを何本も仕込むわけですから。愛がなければ、飽きて終わりです。休みだって不定期。でも、愛があればどうということはない。

--- 最後に、川西屋酒造店で働くということについてお話ください。

 お酒が好きで飲むのが好きというだけだとウチでは無理でしょう。お酒が好きというのはベースにあって、川西屋酒造店の仕事も好きになってくれるのが良いですね。面白さの幅が広がります。

 ウチの場合は小さい蔵ですから、全体を見ることができる。最初は関われる仕事は限られていますが、それでも何が行われているのかは分かる。なんでもやらされるとネガティブな感じで言ったかも知れませんが、これも結構面白い。営業で酒屋さんの店頭に立てば自分の作った酒の話を消費者から直接聞ける。そして、酒を造るという技術、手に職というやつです。これには定年がない。一生涯の仕事にできる。人を育てるなんておこがましくて、ウチの仕事が好きであれば、チームの中で勝手に育っている気がします。

​ どの仕事もそうでしょうが、厳しいことも楽しいこともあって、また次が楽しみになる。そんなことが、ギュッと凝縮していることを経験できるのが川西屋酒造店で働くということだと思います。

蔵人インタビュー その2

工藤恵美子(くどうえみこ)

主婦でありながらパートとして川西屋酒造店で酒造りに携わる工藤。
公務員と主婦しか経験したことがなく、モノづくり、酒造りの現場に身を置くことになるとは思ってもみなかったといいます。そんな彼女がなぜ酒を造ることになったのでしょうか。そして現在の仕事と将来について、さらには川西屋酒造店に対する想いを聞いてみました。

 

 

 

--- 日本酒、地酒とはどのように出会われたのでしょうか?


東日本大震災のときに旅先の福島県いわき市で被災しました。福島のいろいろな人の助けを借りて、なんとか神奈川の自宅に戻ってこられたのです。福島の方々になにか恩返しができないかと考えました。福島と言えばお酒も有名というのがありましたから、福島のお酒をせっせと買って、親せきに送ったりしていました。
実は、私はお酒をほとんど飲まない専業主婦だったのですが、そんなことをしているうちに少しずつ飲むようになり、「ああ、お酒っておいしいな」と思うようになりました。飲むようになったことを知った知人が茅ヶ崎の地酒屋さんを教えてくださって、川西屋酒造店のお酒に出会うことになったのです。

--- そこで一目ぼれして川西屋酒造店に入社ですか?


いえいえ、「このお酒好きっ!」 と、直ぐにはなりませんでした(笑)。FFJ (フレッシュ、フルーティ、ジューシー)なお酒を飲んでいたので、違うタイプのお酒だなと。ただ、食中酒というものを知ってからは考えも好みも変わりました。
何回か川西屋酒造店の蔵見学に行ったりしているうちに、原料米の一つである若水の収穫を契約農家さんのところに手伝いに行くから来ないかと誘われました。作業を終えたときに、自分で収穫したお米がどのようにしてお酒になっていくのか是非見たくなったのです。「バイト代は出せないぞ」と言われながらなんとか頼み込んで、コメを洗ったり、蒸米を運んだりという経験をさせてもらいました。そのとき、蔵の中で麹屋さんがかなりのご高齢で頑張っておられて大変そうだなと思っていたところへ、「おまえ、暇そうだから手伝いにこないか」と工場長の米山に言われ現在に至っています。

--- 酒造りを本格的に始められていかがでしたか?


やればやるほど面白かったです。もっと知りたいと思いました。最初は週2回くらいのパートでしたが、今は普通に毎日出勤しています。パートですけど(笑)。
パートの中では唯一の酒造工ですが、パートだからと言って仕事が他の方と違うということはないですね。
酒造工は面白いですよ。体力が続く限りずっとやっていきたい。
今は主に麹室にいるので、麹をもっと極めたいなぁと思っています。去年より今年、今年より来年という感じで、少しでも良くして次の工程に渡したい。
麹はですね、子育てに似ています。手をかけすぎてもだめですし、目を離してもだめ。
それが身に染みて分かるまで、前の麹屋さんによく怒られました。心配になっちゃうんですよね。じっと見守って成長を見ることも必要なんですよね。


釜洗い.jpg

--- 川西屋酒造店のことをどう思いますか?


楽しいです。お客様との距離が近いですし、やりがいがあります。
こういう方たちがウチのお酒を喜んで楽しんでいただいているのだなぁと実感できることが嬉しいです。
それから、チームワークも良いと思います。パートさんも、蔵人さんも、冬場に来ていただく杜氏さんや職人さんも、手が足りないところがあれば何も言われなくたって手伝いにまわります。小さい蔵ならではのすばらしい光景だなと思います。
パートの私ですが酒造の研修があれば費用をかけて参加させてくれますし、社員だから、パートだからと変な区別をせず必要なことはきちんとやるという会社です。

 

川西屋酒造店の酒造りは、手も必要、目も必要というオールドタイプの酒造りをしています。お酒を育てるみたいなことで、作業ではないのですね。単なる作業であればいくらでも機械に任せちゃっていいとは思うのですが、それをやってしまっては川西屋酒造店のお酒にはならない。そういうことを理解できる人が集まっているなと思います。

----- 今後どうしていきたいですか? 杜氏を目指すとか。


杜氏になりたいというのは全然なくて、私よりも知識も経験も技術もある方にはかないませんし、今の仕事を極めたいので。
私は主婦歴が長いですが、人のどんな経験もなにかに生かせると思うので、主婦の経験で活かせるものがあればどんどん工夫していきたいです。

 

それから、「お酒と人をつないでいきたい」というのはあります。お酒に恩返ししたい。
単に知っているということだけではなく、川西屋酒造店の酒造りに携わったからこそ分かったことがあるのでそれを伝えていきたいです。
飲めば分かるというはもちろんありますが、言語化するというのも大切だと思っています。夏の営業の期間にいろいろなお客様ともお会いするので、酒質のお話や造りのこと、お米や蔵のことなど様々な興味に応えたいです。そんな役割も与えられているのだろうと勝手に思っています。

--- 今後、川西屋酒造店の門を叩く方へ一言お願いします。

いろいろなことができて、楽しいと思いますよ。自分が関わっている仕事が蔵の中の酒造りにおいてどういったことなのかとか、他の仕事はどうなのだろうかというのが良くわかります。

​これから一緒に働いてくださる方にも私なりに伝えられることはあると思いますが、​興味があってお酒に愛があればいつの間にかいろいろ身についていくと思います。最初のうちは右も左も分からなくて少しハードだと感じることもあるかもしれませんが、少し分かるようになるまでくらいついて頑張っていると俄然面白くなってきます。楽しさが増えてきます。大変なこともありますが、面白い事の方が多いと私は思うので一緒にそういったことを共有できることを楽しみにしています。

 

川西屋

​酒造店

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